1 名前:
yomiφ ★[] 投稿日:2013/07/04(木) 00:06:19.49 ID:???
あちこちで話題の新書『ウルトラマンが泣いている』を読んだのだが、暴露本というよりも
「嗚呼、やっぱり」感が濃厚に漂う本だった。
「ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 (講談社現代新書)」 円谷 英明(著)
著者の円谷英明は初代社長 円谷英二の孫であり、二代目社長 円谷一の息子にあたる。
シャイダーを演じた円谷浩の兄にあたる。
本書では前書きと目次の後、円谷一族三代の家計図がわざわざ示される。何故か。
本書で記されるのは、祖父 英二と父 一の業績への賛辞、そして叔父であり三代目社長を
務めた円谷皐の放漫&ワンマン経営への呪詛、その後社長を継いだ兄 昌弘と著者が
どれだけ奮闘しても経営を立て直せなかった苦悩、そして社内クーデターと外部資本による
会社乗っ取り……等々である。更にその結末は、本書の帯に書かれた一文通りだ。
つまり本書で描かれるのは、円谷ファミリーによる勝者無き覇権争いなのだ。
著者の叔父 皐に対する憎悪は相当なものだ。
『80』以降、十数年に渡って国内で新作ウルトラマンを製作できなかったのは、
皐社長が「我々の作ったウルトラマンをどうしてくれるのか?」編成局長に激昂し、
「お前の作ったウルトラマンじゃないだろう」という返された挙句、役員室に出入り禁止となってしまったからだという。
皐社長の時代、経理部の片隅には海外でウルトラマンを放送した際の放送権収入や
グッズ収入の入金記録や領収書を入れるためのダンボール箱があり、
社長と担当重役以外はノータッチ。それらはハワイやラスベガスでの経営陣の遊興費に使われたという話は恐ろしい。
同族経営の中小企業にありがちな話だ。
そういえば自分が高校生くらいの頃、トーク番組にゲストとして出演した円谷皐が
得意そうに歌を唄った後、これが「僕のウルトラマンなんです」と青いウルトラマンを紹介していて
「ウゲー、こんな金満ウルトラマンやだー!」と感じた記憶がある。ウルトラマンヒカリが
出た時もその青ウルトラマンを思い出したのだが、今ネットで調べたら、その金満青トラマンは
杉山清貴が円谷皐を偲んでつくった曲のお礼に使用権利を与えられたというウルトラマンキヨタカだった。
ちょっと記憶が不確かだなぁ。
その他、皐社長の海外旅行好きや資産取得への拘り、円谷音楽出版への株譲渡、
ウルトラマンランドでの不正や赤字なのにクローズできない問題、実兄のセクハラ事件、
一夫社長によるブースカCM等々……「噂では聞いていたけど、やっぱり」感溢れる話がいっぱいだ。
色々と漏れ聞こえていた話が多いのだけれど、まがりなりにも社長を務めた人物が書籍の形で
記すというのはインパクトが違う。祖父や父の偉業が割合さらりと描かれるのに対し、
リアルタイムで体験したであろうこれらの醜聞は、気持ちが入っているのか筆致が違う。
金額がやけに具体的なのもリアルだ。
一方、それとは別の問題として、円谷プロ創業時から続く高コスト体質にもきちんと言及されている。
『ウルトラマンガイア』が終了する間際、円谷プロはたいへん漢らしい映像製作集団であるという話を聞いた。
特撮ドラマは普通のドラマ以上にカネがかかる。ウルトラシリーズはテレビ局から貰う制作費だけではとうてい作れず、
放送中の円谷プロは基本的に赤字で、その後何年もかかってグッズの売り上げ等で
利益を回収していく、だから平成三部作がどれだけ好調でも、一度経営状況を立て直すまで
新作が作れないのだという話だった。
本書に書かれているのは、円谷プロの放漫経営の実態だ。製作陣は、グッズが売れれば
カネは入ってくるのだからと制作費を使いまくる。経営陣は、クオリティの高い作品を作るためには
それも止むなし、と認める一方、きちんと支出と収支のチェックをしない。
円谷プロ創業時から変わらない体質だ(2000年代に入っても帳簿を電子化しない、というのは中小企業によくみられる光景だ)。
円谷プロに復帰した著者が平成三部作の番組ごとの収支をきちんとチェックしたところ、
実際には大赤字だったという。全然回収できていなかったのだ。
(以下略。ソースにて)
http://getnews.jp/archives/370035
8 名前:
なまえないよぉ~[] 投稿日:2013/07/04(木) 00:27:41.26 ID:OzH9/sGH
ライダーや戦隊物は人気保ってるのにね。
円谷にはエイプリルフールで楽しませてもらったよ。
17 名前:
なまえないよぉ~[] 投稿日:2013/07/04(木) 02:12:24.80 ID:v+Jq67FW [2/2]
>>8
>ライダーや戦隊物は人気保ってるのにね。
よく考えたら、原作はいずれも石ノ森さんなんだね。
ライダー1号とゴレンジャー。
ここまで長く続くとは、御大も天国でビックリだろうな。
9 名前:
なまえないよぉ~[sage] 投稿日:2013/07/04(木) 00:28:18.77 ID:DJK2n6Ra [1/2]
この著者の元社長も含めて、円谷一族の経営陣はダメダメだったんだなあと
まあ分かってはいたけど改めて証言として知る本だった
そりゃ何ぼ円谷英二が偉大だったからといってその血縁者に
クリエイターや経営者としての資質があるわけじゃないもんな
中小企業とはいえ円谷一族で経営を回してたことがそもそもの間違いだった
11 名前:
なまえないよぉ~[] 投稿日:2013/07/04(木) 00:45:15.36 ID:KHf4vzhI [1/2]
アニメ制作会社が典型的だが、サブカル業界は経理のいい加減さをどうにかしないと
クリエーターの待遇はよくならんな。
12 名前:
なまえないよぉ~[sage] 投稿日:2013/07/04(木) 00:47:38.06 ID:LUUV/hkT [1/2]
ざざっと立ち読みしたけどわりとすごかったね。
「金かかるからみんな契約社員な!シリーズ終わったら解散!」が普通で
制作してないときは社員5人とかあったけど、ライセンスビジネスが堅調で
わざわざ新しいシリーズ作らなくてもお金が入ってきた。みんながそれに甘えてたという。
30 名前:
なまえないよぉ~[] 投稿日:2013/07/04(木) 11:46:31.03 ID:sbQdfj5J
円谷一の離婚のくだりから
金策に翻弄される中小親族企業の悲哀の物語になって
東宝、TBSとの関係、バンダイとの関係はビジネス書
またキャラクタービジネスをうまく切り取った面白い本ではある
ただ、世界観のブレとかスポンサーの干渉とかいうレベルで作品を語るのって
この人の立場としてどうなんだろうとは思ったよ
コスモス、ティガ以降の作品のトーンや世界観が細切れなのは経営の乱れで説明できちゃう話よね
31 名前:
なまえないよぉ~[sage] 投稿日:2013/07/04(木) 11:48:35.13 ID:DJK2n6Ra [2/2]
>>30
「偉大なマンネリではなぜいけなかったのだろうか」とか言い出して
時代の変化への対応を否定したくだりでだめだこりゃと思ったな
41 名前:
なまえないよぉ~[sage] 投稿日:2013/07/04(木) 16:57:46.80 ID:wOIo9z1N [1/5]
しかし中小の同族経営の制作会社が、東映などの大手の映画会社と
長きに渡り同等にやり合っていたのはもう少し賞賛されるべきだな
逆にそれが仇にあったのだがな
83 名前:
なまえないよぉ~[sage] 投稿日:2013/07/05(金) 15:59:50.15 ID:jRtGDdUP
帯は、レーベル(講談社現代新書)の定番デザイン(中央に違う色の正方形)に従いながら、赤を銀で取り囲んでさりげなくウルトラマンを表現してるのが面白い。
融通のきかない新書のデザインを逆手に取ってる。
他の新書レーベルや、デザイン一新前の講談社現代新書じゃ、こういうのはできなかっただろう。88 名前:
なまえないよぉ~[] 投稿日:2013/07/05(金) 17:33:00.94 ID:Nkg6bNT6
出版社はサブカル業界ではステークホルダーだから
制作会社の経営問題をとりあげた本を出版するのはむずかしいところがあるとおもうが、
新書のセクションならそんなに関係ないか。
89 名前:
なまえないよぉ~[sage] 投稿日:2013/07/05(金) 17:35:46.22 ID:+FNBi/hg
>>88
そういえばこれ講談社なんだよなあ
よく出せたな
104 名前:
なまえないよぉ~[] 投稿日:2013/07/06(土) 09:19:20.35 ID:ynlVKBA0
>>89
講談社から出してるのにウルトラが小学館独占だった時代だけでなく講談社独占時代や小学館講談社共同時代の闇も描いているのは部署の違いだろうな。
文秋や新潮から出す手もあっただろうけど。
元スレURL:http://anago.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1372863979/
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