1 名前:
@@@ハリケーン@@@φ ★[] 投稿日:2013/02/02(土) 18:39:22.72 ID:???
初めて書いた電子書籍のSF小説『Gene Mapper』が、紙の書籍を押しのけ、アマゾンで
1位に。スピード感のある文章と緻密な構成の内容もさることながら、執筆から表紙デザイン
、広告までをプロ級に一人で行なったということで話題を呼んだ。『Gene Mapper』の成功
を機に、文芸誌デビューも果たした作者の藤井太洋氏に、『Gene Mapper』誕生の裏話から
、セルフパブリッシング、そして次回作の概要までをうかがった。
『Gene Mapper』
藤井太洋氏が2012年に発表した処女作。進化し続ける科学技術に一石を投じる深いテーマ
と、スピーディーな文体とストーリーで一躍話題となったSF長編。1月28日までキャンペーン
価格300円で購入できる。
【ストーリー】
2014年にインターネットが封鎖され、拡張現実が日常的に使われるようになった2037年。
農作物にかわり、遺伝子を操作した“蒸留作物”の外観を設計するスタイルシート・デザ
イナーの林田は、納品した蒸留作物の異変により調査を始める。舞台は日本から、2014年に
封鎖されたインターネットが未だ生きているホーチミンへ。そこで、林田は驚愕の事実と、
大きな決断に直面する。
作者紹介:藤井太洋
1971年生まれ。舞台美術やDTP制作、グラフィックディレクターなどを経て、現在はソフト
ウェア会社に勤務。2012年7月に公開した『Gene Mapper』は、執筆から広告にいたるまで、
すべて一人で行なっている。2012年末には、『S-Fマガジン』、『小説トリッパー』で作家
デビューを果たした。
■作品はiPhoneで通勤の往復に執筆
――デビュー作の『Gene Mapper』は、iPhoneで執筆されていたそうですね。
藤井:ええ、会社勤めなので、40分の通勤の往復で書いていました。フリック入力なら
あまり画面を見ずに打てるので。それから昼休みにはiPadでも書いていました。書いたもの
はDropboxに同期して、あとでまとめる感じです。
――どんなアプリを使われているのですか?
藤井:50ぐらい色々なアプリを試しましたが、わたしの書き方に合うものがなかなかなくて……。
最初は縦書き表示に惹かれて『iText Pad』を使ってましたが、Dropboxとの同期が手動
だったのと、同期に時間がかかるので、使うのをやめました。今は章立てのできる
『Notebooks』を使っています。iPhoneやiPadで書き終わったら自動で同期してくれないと
、端末ごとにバージョンが違ったりしてしまうのは致命的なんです。
――書く順番は頭から書かれたのでしょうか? それともシーンごとに?
藤井:『Gene Mapper』は初めて書いた小説なので、できあがり方もあまり参考にならない
かもしれませんが……。最初短編の予定で、『iText Pad』で書いたときは頭から書いて
いたんですが、その後章立てしたいなと思ってからは、バラバラに書くようになりましたね。
長編にしようと決断したあとは、Mac版の『Scrivener』という執筆専用のソフトを使い、
章と節をガツガツ立てて、それぞれ文字数を決めて、空のテキストファイルをDropboxに
落として、それを『Notebooks』で拾うという形で、箱を埋めていくように書いていました。
ソース:週アスPLUS
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/125/125026/http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/125/125134/20120123aikawa02_x700.jpg(つづく)
2 名前:
@@@ハリケーン@@@φ ★[sage] 投稿日:2013/02/02(土) 18:40:18.84 ID:???
>>1のつづき
■1人で書き上げることと編集者と作り上げることの差とは?
――『Gene Mapper』執筆期間はどのぐらいですか?
藤井:2011年11月に初めてのファイルができていますので、半年ぐらいですね。やはり、
前半と後半ではちょっと雰囲気が変わっています。そうならないように努力したんですが、
違います(笑)。執筆の終盤は編集者的な視点をもって書こうとしていましたが……。
もし別の編集者が入っていれば、序盤はもっと精巧な文章でスタートできたはずです。
読者が振り落とされない程度には説明を入れたり、キャラクターをもっと立てたり。そう
いった作業が入ってくると思います。それも外部で見ていれば可能なんですが、一人では
限界がありましたね。
――『Gene Mapper』を発表されるまでの期間はどのくらいかかりましたか。
藤井:自分で脱稿としたのは2012年5月末。それから、友人に最後の読みをやってもらって
、その間に出版準備で公式サイトをつくったり、ePubの試験を繰り返し、7月26日までまる
2ヵ月かけています。
――ちなみに、紙の雑誌に発表された短編2本の執筆期間はどのぐらいですか?
藤井:5週間~8週間ぐらいですね。この2本を書いている頃はだいぶ書き方が固まっていた
ので、通勤の往復で1日に原稿用紙8枚ぐらい書いてました。昼食時にiPadで読み直したり
してました。
――紙の雑誌でプロの編集者とかかわっていかがでしたか?
藤井:いやー、やっぱりプロは違うなと(笑)。初めて一緒に作品をつくった方なので
コメントが難しいんですが、私が知らないことだらけなので、色々と勉強させてもらい
ました。文章の磨き方とか、やりとりしている中でどんどん磨かれていきます。
(つづく)
3 名前:
@@@ハリケーン@@@φ ★[sage] 投稿日:2013/02/02(土) 18:41:10.52 ID:???
>>2のつづき
――セルフパブリッシングでも「全部一人でやらないこと」とおっしゃてましたが、
やはり誰かに読んでもらったり助言してもらうことは大事ですね。
藤井:プラスになります。必ずプラスになります。特に作品になっていない段階で話が
できる友人は、絶対離しちゃダメです(笑)。その人とはコミュニケーションを続けた
ほうがいいと思います。作品ができあがってしまうと、意見が入れにくくなってしまうと
思うんです。セルフパブリッシングの場合は、どうしても一人よがりになりがちなので、
せめて一人ぐらい満足させてから出しましょう、と。
ただ、部数の大きいマスメディアで出す編集だけがすべてでない気がしています。印刷
して書店に置いたり、何千という単位の販売数を狙うのならば、文章を磨き、一貫した目で
キチンと見ていくのは有効な手段だと思います。が、Kindleで買う本の中に、“弾き語り”
みたいな本があるんですよ。表現も揺れてるんですけど、短い小説で、作家の文章が生の
形で出ている、そういう良さのある作品に出会うことがあります。当然ダメなものもたく
さんありますが。ただ、増えていくんじゃないかなって。弾き語り的な、ライブな文章で
出てくる中にしかない良いものが出てくるんじゃないかな。
――それは紙では生まれえない?
藤井:そういうものを出版するのは怖いでしょう(笑)。
――でも、『Gene Mapper』ほどすごいものを一人でつくられると、「編集者いらないん
じゃないか」って危惧しちゃいますね(笑)。
藤井:いえ、そんなことはないですよ。『Gene Mapper』はたまたま7000部出ましたが、
もしこれが書店で平置きされた本だったりするとツライですよ(笑)。パラパラッとめくっ
て、出てくる用語にほとんど説明がない状態が続くこともある。それは避けたほうがいいと思う。
――次回作も1人で書かれるご予定ですよね。
藤井:はい、こういうチャレンジは続けようと思っています。セルフパブリッシングで
やる弾き語りみたいなものは。あと、もし紙の本でという出版社があれば、「じゃあ、
全面書き直しつきあってください」と(笑)。きっちりとエンターテインメントにして
出しますね。
<以下略。省略部分はソース参照。>
-以上-