1 名前:
本多工務店φ ★[] 投稿日:2012/10/21(日) 13:21:31.47 ID:???
もし六本木のキャバクラ嬢が北方謙三の「水滸伝」を読んだら-。
そんなタイトルの販促用小冊子が、書店で話題になっている。
夜の世界を生きる若い女性と、ハードボイルドの巨匠・北方謙三さんが中国の古典を翻案した長編歴史小説。
一見ミスマッチに思える設定だが、「えっ、水滸伝ってこんな話なの?」とかえって興味を引く内容だ。
全国で10万部、大阪の大手書店でも無料で配布されているが、この1カ月でほぼ“完売”状態に。
背景にあるのは、本離れに苦しむ出版業界のあの手この手の販売作戦だ。
独裁ナンバーワン嬢と対決!
《地方の短大を卒業したさくらは、学費稼ぎのためにキャバクラに入る。しかし店のナンバーワン嬢の独裁に反発、仲間を集めて一大勢力を築いていく-》
「もしキャバ」のあらすじはこうだ。
「もし-」という設定は、昨年テレビアニメや映画にもなった
岩崎夏海さんのベストセラー「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」をもじっている。
「『水滸伝』では、国を良くしようと男たちが戦っている。あたしは、お店を良くするために戦うんだ!」
登場人物は、絶対君主的な売れっ子嬢に、立場の弱い新人、良心的だが波風を立てないタイプのベテラン嬢、気の弱そうなボーイ…。
いじめや恋愛、勢力争いもからんで、それぞれの思惑が交錯する。
新人がいじめにあって辞めてしまう事態に至って、「水滸伝」を読んで感化されたさくらは、国ならぬキャバクラ店の組織を変えようと奮起。
自分を登場人物に置き換えて吐く、なりきりモードの熱いせりふはこんなふうだ。
「あたしを信じてください! 林冲(りんちゅう、水滸伝に登場する武芸の達人)を、信じたい。林冲ひとりさえ信じきれず、なんの大義の戦いだ、と私は思う。ですよ!」
ホークス小久保さんも愛読
「水滸伝」は、もともと中国・明の時代の長編歴史小説。
北方謙三さんが原典の登場人物をいかしながら、梁山泊に集まった豪傑108人の興亡を壮大なスケールで描いたのが、北方版「水滸伝」だ。
信頼や友情といった人間関係や、組織を束ねるリーダー論、クーデターに賄賂といった人間社会にはつきもののさまざまな要素が盛り込まれている。
今シーズン限りでの引退を表明した福岡ソフトバンクホークスの小久保裕紀選手が愛読し、文庫の解説を書いたことでも知られる。
すでに「水滸伝」19巻、続編「楊令伝」15巻は文庫化。
新シリーズ「岳飛伝」も2巻まで出版され、「もしキャバ」の表紙に「熱き漢(おとこ)たちのたたかい!」とあるように、主として男性の間で人気を集めている。
売り上げ40万部アップ
一方で、こうしたシリーズ作品は固定ファンの間では根強い人気があるものの、いわゆる時代・歴史ものというだけで敬遠されがちな面もある。
「敷居が高いと思われがちなジャンルだが、読むと現代社会と同じ悩みや葛藤があって共感できるはず」。
そう考えた出版元の集英社が、若者や女性にも興味を持ってもらおうとひねり出したアイデアが「もしキャバ」だった。
設定を「もしドラ」にならうだけでなく、店頭で目を引くように、カバーイラストは水着姿の女性。
集英社の雑誌で連載されていたキャバクラ嬢が主人公のマンガ「嬢王」からとった。
大阪・北新地にあるジュンク堂大阪本店(大阪市北区)では、「もしキャバ」はすでにほぼ“完売。
>>2に続く
ソース:MNS産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121017/wlf12101708020000-n1.htm2 名前:
本多工務店φ ★[] 投稿日:2012/10/21(日) 13:21:49.87 ID:???
>>1の続き
文庫売り場には「水滸伝」コーナーがあり、サラリーマンによく売れているという。
ファンだという60代の男性は「長編は手を出しにくいけどきっかけがあればハマる。こういう販売努力はおもしろいね」。
阪急梅田駅前の紀伊國屋書店梅田本店(同)でも、文庫の横に置いてある「もしキャバ」に手を伸ばす若い男性客がちらほら。
文庫担当の木村加奈子さんは「人物紹介やあらすじを書いた冊子は多いが、こういうタイプのものは初めて。北方さんを知らない若い読者でも、『読めるかも?』と思うのでは」と話す。
「もしキャバ」の効果かどうかは分からないが、配布前にはシリーズ累計850万部余りだった北方版「水滸伝」の売り上げは、10月初旬現在で890万部に迫る勢いだ。
下克上を生き抜くために
こうした工夫を凝らした販売戦略の背景には、“活字離れ”といわれて久しい出版業界の苦しい現状がある。
電子書籍の台頭もあって、大手も巻き込んでしのぎを削り合う下克上時代に突入している。
出版科学研究所(東京)によると、平成23年の出版物(書籍・雑誌)の販売額は前年比3.8%減の1兆8042億円で、うち書籍は8198億円。
ピーク時には書籍だけで1兆円を超えていたが、近年は低迷が続いている。
新たなファンの掘り起こしを狙う販売作戦は、今後も手を替え品を替え登場しそうだ。