1 名前:
yomiφ ★[] 投稿日:2013/07/15(月) 14:08:14.51 ID:???
http://www.4gamer.net/games/098/G009811/20130711110/TN/006.jpg 「ロードス島戦記」の著者として知られる水野 良氏と,韓国を代表する女性ファンタジー作家であり,
「ArcheAge」の原作小説を手がけるジョン・ミンヒ氏。その二人の対談が,2013年6月10日に実施された
「ArcheAge」のプレスカンファレンスの前に行われた。
http://www.4gamer.net/games/098/G009811/20130711110/TN/016.jpg■韓国でのファンタジー人気のきっかけを作った「ロードス島戦記」
4Gamer:このたびの発表会が,お二人にとって初めての対面になるとのことですが?
ジョン氏:はい。日本で「ArcheAge」を紹介するにあたって,原作小説家として私が呼ばれたわけですが,
水野先生もご一緒の対談ということで,大変うれしく思っています。
水野先生は韓国のファンタジー小説に大きな影響を与えた方ですので,お目にかかれて光栄です。
4Gamer:水野先生を知ったきっかけは,やはり「ロードス島戦記」ですか?
ジョン氏:そうです。大学生のころ,1990年代の頭くらいに韓国語版の本を読みました。
確か原作(日本語版)の出版は1988年ですよね?
水野氏:そうですね。ちょうど今年が25周年ですから。
ジョン氏:そのころ韓国ではまだ,ファンタジー小説というもの自体が認知されていなかったんです。
西洋のものが少しはありましたが,ジャンルとして成立するほどではなくて。
水野氏:そうなんですか。トールキンの「指輪物語」とかもなかったんですか?
ジョン氏:それはありました。ただ当時,児童書として出版されていたこともあって,韓国の多くの読者は
「指輪物語」を童話だと思っていたと思います。だから,大人向けのファンタジーというものがほとんどなくて。
■日韓両国のファンタジー観の違い
4Gamer: これはジョン先生にお聞きしたいのですが,日本と韓国のファンタジー観に何か違いはありますか?
ジョン氏: 私と水野先生は,デビュー時期がちょうど10年くらい離れているわけですが,一番の差は
その10年分の世代的なズレだと思います。1998年から韓国で始まったファンタジーブームは,ハイ・ファンタジーを中心に,今では厚いファン層を形成するに至りました。
水野氏:その意味でいうと,一方で日本では,ハイ・ファンタジーはあまりメジャーにならなかったですね。
「十二国記」(小野不由美の異世界ファンタジーシリーズ)とか,短発でいくつかの名作は生まれましたが,やっぱりライトノベルのほうが発展して,
ライト・ファンタジーと括られるものの方がメジャーになりましたから。
ジョン氏:なるほど。韓国で「ロードス島戦記」がヒットした時,こういう日本の小説をほかにも探そうとしたんですけど,
ライトなものしか見つからなかったので,「どうしてだろう」と不思議でした。
水野氏:日本ではキャラクターをメインにしたものが多くて,世界の歴史を積み上げていくような話は実は少ないんですね。
ジョン氏:韓国にもライトなファンタジー小説などは入ってきていますが,やはりハイ・ファンタジーのほうが人気があります。
水野氏:それはうらやましい状況ですね。日本では,本当の意味でのファンタジーブームっていうのは,実はないと言っていいんです。
なぜかというと,日本には時代小説,歴史小説という,日本固有の歴史を舞台にした小説が,もともとかなり支配的なものとして存在しているからです。
ジョン氏:ああ,韓国でも,武侠小説というジャンルがファンタジーより先にブームになりました。
武侠ブームが10年くらい続いたので,今40~50代くらいの人は武侠小説を読んで育った世代なんですね。
一方で,20~30代はファンタジーを読んで育ちました。
(>>2へつづく)
http://www.4gamer.net/games/098/G009811/20130711110/2 名前:
yomiφ ★[] 投稿日:2013/07/15(月) 14:08:59.05 ID:???
4Gamer:武侠の世代とファンタジーの世代とで,分かれているんですね。
ジョン氏:そうですね。だから,韓国のゲームでも武侠系のゲームが多かった時期があります。なぜかというと,
武侠小説を読んで育った世代の人たちが会社を興してゲームを作っていたからです。そして今では,ファンタジーのゲームがそこに加わるようになってきました。
4Gamer:ライトノベルはどうですか?
ジョン氏:ライトノベルについてはまだ詳しくないのですが,韓国でも,ライトノベルのブームの兆しが少しずつ出てきています。
ほとんどは日本のものの翻訳版で,韓国産のライトノベルも徐々に生まれ始めているという状況ですね。
水野氏:いやー,そっち(ライトノベル)の方向には進まないほうがいい気がするけどなぁ。
4Gamer:水野先生ご自身は,最近のライトノベルについてはどうですか?
水野氏:それを僕に聞く!?(苦笑) ――まあ,僕は市場的に見たら淘汰されたほうの人間だと思っていますが,ライトノベル自体は好きですよ。
でも,僕が書いてるものがライトノベルかっていうと,違うとは思いますけどね。
■ライトノベルとは全然路線が違う作品
ジョン氏:水野先生の今後のご予定はいかがですか?
水野氏:今は「グランクレスト」というタイトルをやっています。夏に富士見書房さんから
出版される小説ですけど,ここ5年間はそれに注力かなと思っています。やっぱりシェアード・ワールドで,
戦記ものなんですけどね。
4Gamer:「ロードス島戦記」のリライト版も出されるとか。
水野氏:あ,その作業はもうほぼ終わりましたよ。
ジョン氏:リライトって大変じゃないですか? 私もやった経験がありますけど,デビュー作だったので,
拷問されているような感じでしたよ(笑)。
水野氏:わかります! 昔の自分に「おい!」って言いたくなりますよね(苦笑)。
ジョン氏:はい。私も十年前の自分に言いたいことがたくさんあります(笑)
水野氏:でも,読んでもらった人に聞いてみると,どこが変わったかわからないらしいんですよ。
4Gamerえっ,ほんとですか。
ジョン氏:ああ,私の場合も,どこが変わったのか全部は気付いてもらえませんでした。
水野氏:そういうもんですよね。こちらとしては違和感なく再読してほしいので,そういうふうになるのを目指しているせいもあるんですが。
4Gamer:では,リライト版はそんなに大きく変わらないんですか?
水野氏:まだ決めかねているんですが,カシューとアシュラムの戦闘シーンはもうちょっと加筆しようかなとは思ってます。
4Gamer:おお,楽しみです!
(抜粋)