1 名前:
◆GinGaOoo.. @銀河φ ★[sage] 投稿日:2012/09/10(月) 14:19:36.81 ID:???0
宮部みゆきさん新作「ソロモンの偽証」
「自殺」の真相 中学生が探る
構想15年、執筆9年、原稿用紙にすれば、なんと4700枚分。
宮部みゆきさん(51)にとって5年ぶりの現代ミステリーとなる『ソロモンの偽証』(新潮社、全3巻)の刊行が始まった。
現実社会で相次ぐ悲惨な事件を前に、「(事件がテーマの)現代ものを書くのがつらいと感じることが増えた」と話す作家が、
それでも書き続けた物語には、今を生きる子供たちに向けた「祈り」とも呼ぶべき、切なる願いが込められている。(文化部 村田雅幸)
クリスマスの朝、雪の校庭で生徒の遺体が見つかった。柏木卓也、14歳。ひと月ほど前から不登校だったことなどから、
警察も親も校舎からの飛び降り自殺と判断したが、後に校長らに匿名の告発状が届き、状況は一変する。
不良生徒3人が卓也を突き落とすのを見た、と書かれていたからだ。混乱する学校。
教師は事態を収拾できず、無責任な報道が人々をあおる一方、生徒は何も知らされず、たまりかねた女子生徒、涼子が声を上げる。
自分たちで学校内裁判を開き、真実を明らかにしよう――。無謀にも見える挑戦が始まる。
「お前たち生徒は学校に保護される弱者なんだから口を出すな。そんな学校の抑圧に対して、子供たちを立ち上がらせたかったんです」。
弱い者、虐げられる人々を温かく見守り、励ましてきた作家らしい思いが、今作にも強く表れる。被告は不良のリーダー、大出。
判事、検事、弁護人、陪審員のすべてを中学生が務め、大人たちは、生徒に請われ出廷する証人など、あくまで脇役だ。
大出は本当に卓也を突き落としたのか。告発状は誰が書き、その真偽は?
生徒らは真相にたどり着くべく奔走し、緊迫の法廷劇を繰り広げる。
と同時に、それぞれが抱える思春期の葛藤や、どの家にもある歪(ゆが)みとも向き合い、自ら乗り越えていく。
そんな彼らの姿は時にもろく、時にたくましく、何より愛(いと)おしい。
YOMIURI ONLINE (2012年9月10日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20120907-OYT8T00928.htmhttp://www.yomiuri.co.jp/photo/20120907-193525-1-N.jpg2 名前:
◆GinGaOoo.. @銀河φ ★[sage] 投稿日:2012/09/10(月) 14:19:49.24 ID:???0
(>>1の続き)
「実際にこんなことが中学生にできるだろうか、と思ったこともありました。スーパー中学生ばかりじゃないかって」。
が、著者の迷いを編集者の一言が吹き払う。「誰の人生にも一度は、そんなふうに輝く瞬間があるんじゃないですか」。
そう信じさせる力が、この物語にはある。読者も思うはずだ。いつかきっと、自分も輝く時が来る。だからつらくとも、頑張ろうと。
子供の現状に「祈り」込め
宮部さんは今回、「現実」にも励まされたという。
刊行に向け作品を仕上げていたころ、いじめを受けていた大津の中学生の自殺を知った。
事件そのものにはひどく胸が痛んだが、同級生らの姿には心を打たれた。
「ちゃんと真実を明らかにしてほしいと訴えていたんです。彼らのおかげで、この作品が作り話ではなくなったような気がします」
ところで、このインタビューの冒頭には、こんなことがあった。宮部さんが記者に尋ねたのだ。
「これってミステリーでしょうか。自分でも途中からよく分からなくなってしまって」
なるほど純粋に謎解きを楽しむだけの本ではない。
告発状を書いたのが女子生徒で、おぞましいほどの悪意を抱いていることは、読者には序盤で明かされているし、
中盤以降に重要な役目を担う少年は、いかにも「ワケあり」だ。しかし彼らの存在が物語に奥行きを与え、読者の心を揺さぶる。
少女はこのままでいいのか。少年の背景には何があるのか。そして願わせる。
ここに登場したすべての少年、少女を救うことはできないか、と。その願いは、著者が現実の少年、少女たちに願うものと重なる。
「自殺をしないでほしいんです。人生は青春時代だけじゃない。私なんか小学校も中学も高校も何一つぱっとせず、20代も大方ダメ。
道が開けたのは、運良くプロの作家になれてから。若いうちに自分の人生を見切らないでと伝えたい」
デビュー25周年を迎えた作家の、新たな代表作と呼ぶにふさわしい、厚く、熱い物語である。
『ソロモンの偽証』は第1部「事件」が発売中、第2部「決意」は9月21日、第3部「法廷」は10月12日に発売予定。
3 名前:
◆GinGaOoo.. @銀河φ ★[sage] 投稿日:2012/09/10(月) 14:20:11.34 ID:???0
宮部みゆき『ソロモンの偽証』〈全三冊〉|新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/solomon/『ソロモンの偽証 第Ⅰ部』 発売中
その法廷は十四歳の死で始まり偽証で完結した。五年ぶりの現代ミステリー巨編!
クリスマスの朝、雪の校庭に急降下した十四歳。その死は校舎に眠っていた悪意を揺り醒ました。
目撃者を名乗る匿名の告発状が、やがて主役に躍り出る。
新たな殺人計画、マスコミの過剰報道、そして犠牲者が一人、また一人。
気づけば中学校は死を賭けたゲームの盤上にあった。死体は何を仕掛けたのか。真意を知っているのは誰!?
『ソロモンの偽証 第Ⅱ部』 9月21日発売
もう大人たちに任せておけない――。保身に身を窶す教師たちに見切りをつけ、一人の女子生徒が立ち上がった。
校舎を覆う悪意の雲を拭い去り、隠された真実を暴くため、学校内裁判を開廷しよう!
教師による圧力に屈せず走り出す数名の有志たち。そして他校から名乗りを上げた弁護人の降臨。その手捌きに一同は戦慄した……。
『ソロモンの偽証 第Ⅲ部』 10月12日発売
8月15日。遂に開廷日となり、5日間にわたる裁判が始まった。
柏木卓也の家族、警察、不明だった告発状の差出人をはじめとする様々な証人が登場し、事件の謎の解明は二転三転する。
同時に、生前の柏木卓也像がどんどん浮き彫りになる。しかし、最後の、あまりにも意外すぎる証人の登場に、法廷は震撼した。
この裁判は仕組まれていたのか――。証人の口から明かされる前年のクリスマスイヴの知られざる状況とは……。驚天動地の完結編!